大型LEDビジョンを導入する際、見落とされがちなのが「撮影・配信するとチラつく(フリッカーが出る)」問題です。肉眼ではきれいに見えていても、カメラ越しでは横線が走ったり、画面が明滅したりして、配信品質や収録品質が大きく下がることがあります。
このトラブルの多くは、LEDビジョンのリフレッシュレートや駆動方式の理解不足が原因です。本記事では、「LEDビジョン フリッカー 対策」の観点から、フリッカーの仕組みと、リフレッシュレート(Hz)の正しい見方、用途別に失敗しない判断軸を整理します。
大型LEDビジョンは、イベントやスタジオ、eスポーツ、施設内演出など「撮る・映す」用途で使われることが増えています。その一方で、導入後に次のような不具合が発覚するケースは少なくありません。
これらは、LEDの表示が「ずっと点灯しているように見えても」、内部的には高速な点灯・消灯を繰り返しているために起きます。カメラはその一瞬を切り取るため、肉眼では見えないズレが映像として見えてしまうのです。
フリッカーとは、LEDが高速で点灯・消灯を繰り返すズレが、映像として見えてしまう現象です。LEDビジョンは明るさを調整するために、極めて短い周期でON/OFFを制御しています。
人の目はこの変化を平均化して「連続した映像」として認識しますが、カメラは静止画の連続として映像を記録します。その結果、次のような症状として現れます。
フリッカーが問題になりやすいのは、人の視覚とカメラの仕組みが異なるためです。
つまり、肉眼での確認だけでは「撮影・配信で問題が出ない」とは判断できません。撮影用途が少しでもある場合は、フリッカー対策の観点で別途チェックが必要です。
フリッカーは特に、次の用途で顕在化しやすくなります。
「見る」だけでなく「撮る・映す」前提の用途では、フリッカー対策は必須要件になります。
リフレッシュレートとは、1秒間にLEDビジョンが何回描き直されているかを示す数値です。例えば、次のように表現されます。
一般的には、リフレッシュレートが高いほど、撮影時のフリッカーが出にくい傾向があります。
混同されやすいのが、映像データ側のフレームレート(fps)との違いです。
fpsが高くても、LEDビジョンのリフレッシュレートが低ければフリッカーは発生します。撮影・配信用途では、Hz(表示側)の仕様確認が必須です。
最近は「高リフレッシュ(7,680Hzなど)」を強調する製品も増えていますが、数値だけで撮影品質が決まるわけではありません。
これらが噛み合って初めて、「撮影に強いLEDビジョン」になります。
リフレッシュレートが低い場合、LEDの点灯・消灯のタイミングがカメラのシャッター速度と干渉しやすくなり、フリッカーが目立ちます。具体的には、次のような症状が出やすくなります。
特に高速シャッターやスローモーション撮影では影響が大きくなるため、用途の前提条件として整理しておくことが重要です。
フリッカーは、明るさを下げたときに強く出ることがあります。これは多くのLEDビジョンが、PWM(パルス幅変調)方式で輝度調整を行うためです。
屋内で眩しさを抑えたいケースや、夜間の屋外運用では、輝度調整時の撮影テストも重要になります。
注意したいのは、高リフレッシュレートでもフリッカーが完全に防げない場合があることです。原因としては次が挙げられます。
つまり、リフレッシュレートは重要ですが、「Hzだけで選ぶ」のは危険というのが実務上の結論です。
リフレッシュレートは「高いほど良い」と考えがちですが、用途によって必要水準は変わります。ここでは、現場でよく使われる考え方として、最低ライン/安心ラインで整理します。
| 用途 | 最低ライン(目安) | 安心ライン(目安) | 補足 |
|---|---|---|---|
| 屋外広告・サイネージ(肉眼中心) | 1,920Hz程度 | 3,840Hz程度 | SNS撮影・取材があるなら安心ライン推奨 |
| イベント・ステージ演出 | 3,840Hz程度 | 7,680Hz程度 | 撮影・配信が入りやすく、余裕を持つと安全 |
| ライブ配信・YouTube撮影 | 3,840Hz以上 | 7,680Hz以上 | 視聴者は常にカメラ越し。チラつきは品質低下に直結 |
| テレビ収録・CM・スタジオ用途 | 7,680Hz以上 | 実機テスト必須 | 機材・照明・撮影条件で結果が大きく変わる |
| eスポーツ・高速映像用途 | 7,680Hz以上 | 用途・機材に応じて要検証 | 表示性能に加え、遅延や制御品質も重要 |
この表はあくまで一般的な目安です。実際には、撮影機材や運用時の輝度設定によって変動するため、「テストできるかどうか」も含めて判断しましょう。
「7,680Hzと書いてあったから大丈夫」と判断して導入したのに、配信現場でフリッカーが出るケースがあります。原因は、制御方式の違いや、スペック表記の条件差、周辺機器との相性など、数値以外の要素にあることが多いです。
肉眼確認だけで導入し、「いざ撮影したら使えなかった」というトラブルも少なくありません。特に常設サイネージや公共施設では後からの調整が難しく、事前テストの有無が致命的な差になります。
高リフレッシュ仕様にしてコストを上げたものの、実際の用途では効果を体感できず、費用対効果が悪化することがあります。用途に対して過剰な仕様は、コスト増の原因になりやすいため注意が必要です。
フリッカー対策では、リフレッシュレート以外にも確認すべきポイントがあります。導入前に次をチェックしましょう。
特に重要なのは、「どの条件でテストできるか」です。実運用に近い条件で検証できるメーカー・業者を選ぶと、導入後のトラブルを大きく減らせます。
リフレッシュレートとフリッカー対策は、他の選定要素とも密接に関係します。総合的に判断することで、失敗リスクを下げられます。
リフレッシュレートはフリッカー対策の重要指標ですが、Hzだけで判断すると失敗につながります。
これらを整理したうえで、数値+実機確認+運用環境を総合的に判断することが重要です。撮影・配信用途が少しでも想定される場合は、テスト対応や実績のあるメーカー・業者を選ぶことで、導入後トラブルを大きく減らせます。
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